【豊後水道を震源とする地震から1か月】

4月17日深夜、豊後水道を震源とする地震が発生し、愛媛県全域で大きな揺れに襲われました。
震源地は豊後水道沖の深さ39キロメートル地点、地震の規模は速報値でマグニチュード6.3、その後6.6と判定されました。

愛媛県と高知県で特に強い揺れが感じられ、愛南町と宿毛市で最大震度6弱、宇和島市では震度5強、西予市、八幡浜市、大洲市、内子町、鬼北町では震度5弱が観測されました。

今回の豊後水道を震源とする地震によって、人的被害は9名(いずれも軽症)、住宅の一部損壊が12世帯12棟という状況でした。改めて被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

インフラや公共施設等の被害については、国道197号線肱川地区での落石による通行止め、宇和島港や御荘港の岸壁の沈下、宇和島市総合体育館・南予文化会館の天井崩落、宇和島城天守の外壁漆喰の剥落など、数多くの被害がありました。また、数か所で水道の断水や水の濁りが発生しており、給水支援も行われました。

地震で被害を受けた宇和島市の飲食店を支援しようと、砥部焼の窯元の皆様からは、砥部焼の皿や茶わんなどが贈呈されるなど、被災地への心温まる支援もいただいています。

国においても、復旧を迅速に進められるよう、県や被災市町が行う応急対応や被災者支援に対する経費について財政措置を行うなど復旧支援を続けてまいりたいと思います。

愛媛県で震度6弱を観測したのは、現在の震度基準が定められた平成8年4月以降初めてで、平成13年芸予地震以来の大きな地震でした。

地震発生後1か月が経とうとしていますが、震度1以上を観測した余震が5月8日9時現在で72回も発生しており、地震活動が活発でいまなお不安な状況が続いております。

なにより、震源地が南海トラフ巨大地震の想定震源域内であったことから、多くの方が南海トラフ地震を想起したのではないかと思います。

気象庁は、4月18日未明の記者会見において、今回の豊後水道の地震は南海トラフ地震の想定震源域内で起きたものの、南海トラフ地震とは発生メカニズムが異なり、直接、巨大地震の可能性が高まったとは言えないとしました。

「地震の発生メカニズムが異なる」とは、南海トラフ地震がプレートの境界で発生するのに対し、今回の地震はフィリピン海プレート内部の深さ39㎞で発生した点で異なるとのことです。

また、地震の規模がM6.6と、南海トラフ地震との関連性を調査する基準(M6.8以上)には達しませんでした。M6.8とM6.6ではおよそ2倍のエネルギーの開きがあります。また、M7.6の能登半島地震と比較すると、今回の地震のエネルギーは約32倍の1でした。

一方、5月9日に開催された政府の南海トラフ地震調査委員会では、今回の地震は南海トラフ地震を引き起こす原因となるプレート境界の動きには影響しなかったとしつつも、南海トラフ地震はいつ起きても不思議でない状況が続いており、備えを進めることが求められるとの認識が示されました。

南海トラフ地震においては、M8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率が70~80%とされており、今回の地震によってその切迫性を強く感じた方が増えたのではないかと思います。

南海トラフ地震を想定した防災・減災対策や地域防災力の強化に向けた具体的な取組みを加速させることが急務です。

同時に、県民の皆様にも、住宅における家具等の固定、避難所や避難ルートの確認、防災訓練への積極的な参加など、万が一の事態に備えた対策を進めていただきたいと思います。

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